上野 刺客を返り討ち優勝!

 梅雨がまだ明けぬ香川の空はドンヨリと曇ってはいたが、遂に香川県でもSSの開催許可がおり、香川のラリー界には明るい日差しが差していた。
 中国・四国ラリーシリーズ第3戦は、4年ぶりの開催となったCMSC香川のラリーだが、新ルールでのSS設定には人手やコストがかかることもあって、2本の林道を使って3本のSSを2周回する設定になっていた。
 それぞれのSSは、1本目がショートステージ、2本目が狭くてツイスティなステージ、そして3本目は高低差は激しいもののスピードが乗るステージというような特徴を持っていた。
 いずれにしても、久しぶりの開催とあって、誰が有利なのかは分からないが、4年前のCMSC香川のラリーでBクラスの1−2を飾った、地元の松原久や冨谷利幸は多いに燃えていた。
 また、CMSC香川のラリーで衝撃的なラリーデビューを飾り、昨年の全日本2輪駆動Cクラス3位までに上り詰めた、藤井博樹がナビを務める吉川直毅も万年2位の汚名を返上し、そろそろFCクラスの優勝が欲しいところだ。
 一方。5年連続でチャンピオンに輝き、中国・四国ラリーの王者として君臨している渡部洋三が、全日本のカレンダー変更の影響を受けて不参加となった。
 そのCクラスには、渡部が放った刺客の堀川竜二が送り込まれたが、暑くジメジメとした気候に、北海道在住のナビの体調が合わずに、ラリーまで不調に終わった。
 この結果、渡部は2戦を終えてノーポイントということもあって、連続チャンピオン獲得の夢に黄信号が灯りだした。
 Bクラスは、英語教師として来日し、帰国を控えたブライアン・ウェンディが竹下俊博とエントリーしてきた。
 このコンビは以前に全日本ラリーに出場しているのだが、それはTCフォーマットのラリーで、ウェンディの祖国カナダで経験あるフォーマットだった。
 しかし今回のラリーは、秒計や申告のラリー区間が含まれ、ウェンディはラリーコンピューターの操作と共に、難解な指示書を克服しなければならなかった。



 SS1を堀川と新家雄嗣が取り、渡部の要望通りの形でラリーが始まったが、上野耕二が好調で堀川を少しずつ上回った。さらに堀川はラリー区間のパスコンを落とし、渡部の目論見は見事に崩れ去った。1ステをトップで上がった上野は、2ステの全てのSSをベストで上がり、4年越しの優勝を飾った。2位には1ステ5位からジャンプアップした白神祥男が入り、3位には白神に1秒かわされた新家が入った。


優勝 上野 耕二/鎌田 敏秀

2位 白神 祥男/三宅 律子

3位 新家 雄嗣/米内山 晃一



 帰国の記念に優勝をプレゼントしたかった竹下だが、竹下より好調の選手がその前に立ちはだかった。それは地元の松原や冨谷でなく、ベテランの松井でもなく、何と細川勝司だった。心優しきナビがコミュニケーション出来ない英語で教えたウェンディがナビ区間をベストで上がったが、細川が単発ではなくトータルでタイムを揃え、鬼のいぬ間に獲得した昨年の優勝に続いて、魑魅魍魎が揃ったラリーで優勝を飾った。2位には竹下、そして3位には1ステ3位からの大逆転で松井が入った。


優勝 細川 勝司/武田 友己

2位 竹下 俊博/Brian Wendy

3位 松井 繁往/田代 啓之




 第1戦で優勝を飾った速水直樹が好調で他の追従を許さない。そろそろ優勝が欲しい昨年度チャンピオンの日高隆紀だが、コースオフして脱出に戸惑い万事休す。前戦で優勝を飾った清水順司は、速水に徐々に差をつけられた挙げ句に、申告でミスして2位の座を安藤恭平に譲ってしまった。速水はこれで2勝目を飾ったが、シリーズリーダーの座は何とか安藤が確保した。


優勝 速水 直樹/佐川 俊二

2位 安藤 恭平/原野 雅子

3位 清水 順司/岡田 哲弥




 SS1を吉川と武智泰宏が分け合い、SS2を武智が奪ったが、前戦で優勝を飾った山口英明が、今回も谷正史ナビのアシストを得て、1ステでトップに立った。2ステに入って全SSをトップで上がった山下康彦の追い上げにあったが、1ステのマージンが効いて2連勝を飾った。


優勝 山口 英明/谷 正史

2位 山下 康彦/山田 美佐代


取材記事協力:


Copyright© JMRC中国ラリー部会. All Rights Reserved.